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隣の芝生SM雑記帳

SMを中心とした乱文です

『愛人犬アリス』

人はいずれ死ぬ・・・・・
宇宙の果てを探査できる技術が開発されたとしても死後の世界については何ひとつ情報を得ることは不可能です
時々、生死をさまよったという人が、三途の川を見た などという話はありますが、本当のところは分からない・・・
宗教観による違いはあるのかもしれませんが、少なくとも死により現在の生活は断絶し、今とは確実に異なる世界が待ち受けている・・・・この厳然とした事実が死への恐怖心の要素のひとつなのかもしれません。
また、死に至る過程で自分にどんな状況が訪れるのか・・・・・これも年齢を重ねるにつれ不安に感じる要因かと思います。
高齢化を迎えた現在、老いに関しては自分の晩年を記録することで、後世に情報を伝えようとする試みは数多くなされています。

今回の本は、死の淵に達したことを悟った状況で団鬼六先生が執筆を決意したということです。 他の闘病記と異なるのはラプラドールの愛人犬と著者の甘く切ない日々を中心に綴っていること・・・・、 現実の闘病生活には愛人犬のみでなく多くの人々が関わったであろうことは巻末の記念写真でも容易に想像できますが、愛人犬の存在が、老いて弱っていく官能小説家の最期に温かみを感じさせてくれます。

著者が一時帰宅で二晩愛人犬と同衾した翌日、体調を崩し再入院となります。おそらく最後の入院となることを覚悟していたのでしょう。自宅を後にすれば2度と戻ることは無いし、愛人犬に濡れた瞳で見つめられることもかなわない・・・・・・迎えのタクシーが来たことを告げられ、膝をたたき、「よっしゃ!」と立ち上がる場面があります・・・・・大きく息を吸い込んだ後 「さよなら!」と一言を発し、見送る愛人犬に振り返ることなく玄関を出て行きます。
様々な出来事があったであろう人生の最終章に踏み出して行く・・・・・胸に迫るものがありました。
また、去っていく御主人様に頭を撫でられるでもなく、背中をじっと見つめるアリスには犬とはいえ、愛人と呼ぶにふさわしい場面だったかもしれません 

「快楽主義者に飼われた犬は身体に悪い食べ物も好きに与えられて寿命が縮まるのかもしれない・・・・が、自由に生きることによって逆に長生きするかもしれない・・・
どうせ分からないのだったら、いたずらに禁欲的になることない人生に賭けてみたらいいじゃないか・・・・・」 というメッセージ 
現実社会でその通り実践することは難しいですが、変態のはしくれとして重く受け止めました。
  1. この記事のURL 2011/08/07(日) 21:04:54|
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